はじめに

前回は、データを格納するための「変数」という箱について学びました。しかし、この箱には何でも入れられるわけではありません。コンピュータは、中に入れるデータの種類を厳密に区別します。今回は、そのデータの種類である「データ型」の基礎として、文字を扱う「文字列」について詳しく理解を深めましょう。

データ型とは何か？

「データ型」とは、そのデータがどのような種類の情報であるかを示すラベルのようなものです。例えば、私たちは「鈴木一郎」というデータを見ればそれが「名前（文字）」だと分かりますし、「65」というデータを見ればそれが「年齢（数字）」だと分かります。コンピュータも同様に、データ型によって、それが文字なのか数字なのか、あるいは他の何かなのかを判断します。

データ型を正しく理解することは、意図しないエラーを防ぐ上で非常に重要です。例えば、「年齢（数字）」と「名前（文字）」を足し算する、といった無意味な計算を避けることができます。

文字列データ型（str）の特徴

「文字列」は、文字の並びを扱うためのデータ型です。Pythonでは str （stringの略）と呼ばれます。患者名、診断名、薬品名など、医療現場で扱うほとんどのテキスト情報がこの文字列型で表現されます。

文字列の作成方法

文字列は、ダブルクォーテーション " またはシングルクォーテーション ' で囲んで作成します。

# 様々な文字列の作成例
patient_name = "山田"        # 患者名
diagnosis = "糖尿病"              # 診断名
medication = "メトホルミン"        # 薬品名

# シングルクォートでも作成可能
department = '内科'               # 診療科名

文字列の特徴と注意点

文字の集合: 日本語、英数字、記号など、様々な文字を含めることができます
不変性: 一度作成した文字列の内容を直接変更することはできません
引用符の使い方: 文字列の中で引用符を使いたい場合は、違う種類の引用符で囲みます

# 引用符の使い方の例
sentence1 = "患者の名前は'山田花子'です"  # シングルクォートを中に含む
sentence2 = '看護師は「了解しました」と言いました'  # ダブルクォートを中に含む

`type()`関数でデータ型を確認する

ある変数がどのデータ型を持っているかを確認したい場合は、type()という組み込み関数が便利です。変数名をtype()の括弧の中に入れると、そのデータ型を教えてくれます。

# 文字列変数のデータ型を確認する
print(type(patient_name))  # <class 'str'> と表示されます

一般的なコード例：患者情報管理

# 患者の基本情報を文字列として格納
patient_name = "鈴木"
gender = "女性"
blood_type = "A型"
emergency_c

# 情報を表示
print(f"患者名: {patient_name}")
print(f"性別: {gender}")
print(f"血液型: {blood_type}")
print(f"緊急連絡先: {emergency_contact}")

まとめ

今回は、文字を扱う「文字列」データ型について学びました。患者名、診断名、薬品名など、医療現場で扱うほとんどのテキスト情報が文字列で表現されることを理解しました。

文字列はPythonプログラミングの基礎となる重要なデータ型です。次回は、数値の中でも整数を扱う「int」データ型について詳しく解説します。